2月1日 プロ野球キャンプイン

蓮見 和章

 皆さんこんにちは、私アクティブイノベーションウエスト広島事務所所長の蓮見和章です。

 このブログは初めての投稿になりますが、よろしくお願いいたします。

 さて、2月に入りプロ野球のキャンプが始まりました。今年は佑ちゃんフィーバーなどもありスポーツニュースに限らず連日のようにキャンプの報道がなされていますが、お気に入りのチームや選手の動向が気になっている方もいらっしゃると思います。Jリーグなど他のプロスポーツと違い、各球団一斉に開始するプロ野球のキャンプインは今や季節の風物詩ともなっていますよね。でも皆さんは、なぜプロ野球のキャンプは12球団一律に毎年2月1日にスタートするのか疑問に思ったことはありませんか。

 実は、この一斉キャンプには、ちゃんとした法的な裏付けがあるんです。キーワードは「統一契約書」です。今日はこの「統一契約書」の話をしたいと思います。

 日本のプロ野球では、全球団の選手に球団側と統一様式の契約書を交わすことが義務付けられていて(プロ野球協約第45条)、球団と選手間で統一契約書の内容と異なる合意をすることはできないようになっています(同第47条)。そして、その統一契約書にはプロ野球選手の報酬の対象期間は2月1日から11月30日と定められているんです。つまり、12球団のすべてのプロ野球選手は、契約上プロとして野球をして報酬がもらえる期間(プロ野球選手として活動できる期間)が2月1日から11月30日と定まっていて、球団側も選手に対して2月1日まで強制的に練習させることができないし、選手も球団に2月1日になるまでのトレーニングについて報酬を求めることが出来ない仕組みになっているのです。

 もちろん、1月中も選手は球団施設を使ってトレーニングをしています。ただ、それは球団から強制されるものではなくあくまで「自主トレ」としてやっているもので、球団は施設を貸しているだけにすぎません。球団の主導でキャンプ前に新人選手等を対象として「合同自主トレ」を実施することがありますが、これもあくまで「自主トレ」ですから、原則として不参加であっても何の問題もないことなんです。

 このように、プロ野球選手全員が、統一的に2月1日から稼働するものと規定していると、契約交渉が難航してそれまでに契約締結できない選手はキャンプをどうするのかという問題が出てきます。

 たまに、スポーツニュースで「○○選手、自費キャンプも辞さず。」とか「××選手、キャンプは自費で。」という記事をみることもありますが、自費キャンプになってしまうのは、通常の選手は契約を締結し2月1日より報酬がもらえるのに対し、キャンプインまでに契約を締結できない選手は報酬がもらえないからです。ちなみに2月1日以降に契約した場合は、契約が1日遅れるごとに年棒の総額から300分の1を減額されてしまいます。選手としては、年棒の折り合いがつかないために契約締結を先伸ばしにしているのに、結果として年棒の減額がされてしまうことになってしまう危険性があるので腑に落ちない点があるかと思いますが、これも統一契約書に記載されてしまっているのです。

 この統一契約書、35条前後の条項からなるのですが、契約内容を法的に素人であるプロ野球選手が理解するのはなかなか難しいのではと思います。先日、元プロ野球選手の方とお話させていただく機会がありましたが、実際この統一契約書の内容をしっかり理解しないままに毎年契約を締結していたそうです。このような話を聞くと、せめて契約内容を選手に理解してもらうためにも、契約交渉に代理人が同席する必要性はあるのではないかと感じてしまいます。

 ともあれ、今年も野球の季節がやってきました。選手は、法律上公式戦のみならず2月1日から11月30日まで「プロ」として野球をしているわけですから、ファンとしてもキャンプインからシーズン終了後の秋季キャンプまで、選手の「プロ」としてのプレーを見守ってみてはいかがでしょうか。

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