死後事務委任 vol.1

蓮見 和章

 最近、「終活」をしていく中で、亡くなったあとの葬儀、納骨、埋葬などの「死後の事務」を弁護士などの専門家に依頼したいというご相談が増えているように思います。当法人でも特に身寄りのない方はもちろん、親族がいる場合でも「葬儀等で親戚に迷惑かけたくない」と死後事務委任契約についてご相談を受けることがあります。
 近年、少子高齢化と核家族化が進み、お子さんが遠方で暮らしている方や、独身のおひとり様が増えています。ご自身が亡くなった後についても、親族任せではなく、自分が希望する葬儀や埋葬方法で人生を終えたい。また自分の生活拠点としていたところの処理(自宅所有であれば売却、賃貸であれば明渡し)なども遺品の整理などは自分に近しい人には任せたくないという思いを持たれる方は意外と多いのかもしれませんね。
 そこで、今回は「死後事務委任契約」についてまとめてみたいと思います。

死後事務の主な項目は次の通りです。
・医療費の支払いにまつわる事務
・家賃、地代、管理費などの支払い・解約手続き
・老人ホームの施設利用料の支払い
・通夜・告別式・火葬・納骨・埋葬に関する事務手続き
・菩提寺や霊園の選定
・墓石建立に関する事務手続き
・永代供養に関する事務手続き
・相続財産管理人の選任申し込み手続き
・以上の各事務の費用の支払い
・インターネットのSNS、ブログ、ホームページへの死亡告知から退会処理
・所持するパソコンの内部データの消去

 亡くなった後に必要となる手続きのほとんどを死後事務委任契約で依頼できます。
判断能力が衰えた場合に財産管理や入院、介護施設への手続を任せる後見人制度がありますが、成年後後見制度や任意後見制度も、ご自身が亡くなるまでのサポートで亡くなった時点で契約は終了するため、死後事務委任契約とは対象となる時期が違うというイメージでいいかと思います。
 
 また、たとえば手紙や口頭で知人や家族に、「死後は永代供養墓に埋葬してほしい」と伝えていても、実際に亡くなった後、周りの環境や状況しだいでは必ず実行されるとは限りません。
 しかし、死後事務は家族以外の専門家を受任者にするため、亡くなった後にきちんと効果を発揮させることができます。
 次回は、具体的に死後事務委任契約を締結する際に必要な手続きや費用面についてお話します。

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