想いのリレー~「祝」埼玉県立浦和高校ラグビー部花園出場!~

蓮見 和章

 こんにちは、広島事務所の蓮見です。

 今回はとても嬉しく感慨深いニュースがありましたので、かなり個人的ですが宣伝も兼ねてその話をさせていただきます。

 私は高校時代ラグビー部に所属していたのですが、その母校の埼玉県立浦和高校ラグビー部が本日54年ぶりに埼玉県を制覇して、正月の全国大会、いわゆる「花園」(野球で言う「甲子園」と同義)への切符を手にしました。

試合自体も最後まで手に汗握る激戦でしたが、http://www.youtube.com/watch?v=RPMpehi819c

個人的にこれ程までに感動したスポーツシーンは今までなかったと思います。

 ラグビーというと広島をはじめとした中国地方ではびっくりするほどマイナースポーツで部自体がない高校がほとんどのようですが、関東や関西では大学ラグビー等の影響かそれなりに人気があります。埼玉県も、北部地方では小学校からラグビーをしている生徒も多いですし、参加校数も全国でも有数の激戦区です。その中で、県南部にある浦和高校はほとんど高校からラグビーを始めた生徒しかいないため、これまではわずか3年間で県北の強豪校に追いつき追い越すのは至難の業だったのです。
 

圧倒的な体格差、技術の差を埋めるためにできる限りの努力はしたつもりでも、毎年強豪校にあと一歩のところで跳ね返されてきました。私達の代も、優勝校相手に善戦はしましたが、最後は力の差を見せつけられ敗退し、無力感を味わったものです。
 
  ただ、その中でも確実に受け継がれて来たものがあると思います。「花園に行く」という「想い」です。入部した時から先輩から「花園」という言葉を常に聞かされ、いつしか自分たちも「花園に出場する」ということをイメージして練習を行うようになりました。そして、後輩にその想いを託して引退しました。
 もちろんその想いに強弱はあったかもしれません。また、何より私の卒業からは15年以上も経っていますから、練習方法や量も違うでしょうし、今年も含めた最近の生徒たちの努力が一番であることは間違いありませんが、その想いが途絶えなかったからこそ今年の快挙があったのではないかと思う部分もあります。

一人ひとりの選手は数年間しか所属しないにも関わらず「伝統」が語られることの多い学生スポーツ。なぜ「伝統」が強調されるのか、正直これまでピンと来ない部分もありました。しかし、今回は監督と部長が直接自分がかかわりのあった先輩と後輩であったこともあったのか、ふっとこの「伝統」こそが学生スポーツの醍醐味であることに納得できたのです。「伝統」とはつまり「現役選手たちの想い」のリレーなんだと思います。

 今回のニュース。第三者からすれば大したニュースではないと思います。それでも、僕も含め知る限りのOBは皆泣けてくるほど感動している様子です。他の学生スポーツでもOBが我がことのように母校の活躍にはしゃいでいる様子がテレビでよく扱われますよね。

 なぜそんなOBの歓喜がニュースになるのか。

「想い」をリレーすることは、後輩たちにその「想い」を託すということです。つまり後輩が「花園に出場する」ということは、これまでのOBが現役時代に持っていた「想い」が成就した瞬間だったんだと思います。私自身は、その瞬間、止まっていた時間が昇華していくようななんとも言えない感慨深さを感じました。またそれが自分自身の努力ではないところで実現したところが、その感慨深さをさらに大きくさせているように思います。

 思えば、文明の進化等もそうかもしれません。先人達が一生懸命研究したものの、その時代では成就しなかった「想い」を受け継いだ後輩たちが実現し実用化する。そしてまた新たな課題に直面し、それを研究するが解決できないまま次世代に「想い」を引き継いで行く。
私には子供がいないのでわかりませんが、もしかしたらお子さんの成長をうれしく感じ、その子供である孫が誕生し成長する姿を見てさらに微笑ましく感じるのも、自分の「想い」がまた次世代にリレーされることを本能的に望んでいるからではないかと思います。
 そこには、自分自身で成就できる「目標」とはまた次元の違った壮大な「想い」が存在するように感じます。

 当たり前のことを長々と書いてしまっている気もしますが、結局何が言いたいかと言えば、この「想い」というのは、やはりその時々をしっかり生きていないと生まれてこないものなのだと思います。大切なのは、その「想い」が成就するか否ではなく、後世にリレーできるほど強い「想い」を持ち続けられるかどうかだと思います。
 今回の後輩たちの快挙に触れ、自分の背筋がピンを張る思いがしました。今の自分の生き方に対しての「想い」をもう一度見つめなおしてみようと思います。その意味でも、本当に後輩たちにはありがとうと言いたいですね。

 さて、埼玉県内では、浦和高校のラグビーの伝統は、愚直なほどひたむきで労を惜しまないラグビーだと評されてきました。そのラグビーが「花園」の舞台でどのように表されるのか。年末に始まる「花園」。私は現地で「想い」の成就の場に立ち会うつもりです。

ラグビーに興味のある方もない方も、地元の出場校の応援も兼ねて、テレビでも良いので是非一度観戦してみてはいかがでしょうか。

https://www.tokyo-sports.co.jp/blogwriter-watanabe/12072/

前のページへ戻る