少年法と「アナと雪の女王」~子どもの日記念イベント2014~

蓮見 和章

こんにちは、代表弁護士の蓮見です。

さて、GWの間のウィークデーですが、皆様いかがお過ごしでしょうか。

この季節は本当に気候が良くて外へ出ても気持ちがいいですし、家にいてもじっくり何かに打ち込める時間があるので、皆さんもそれぞれの予定を楽しみにしていることと思います。もちろん、このような時期だからこそ休みもなく、仕事三昧という方もいらっしゃるかもしれませんが、それでもやっぱり日常と違う雰囲気で違った刺激を受けているのではないでしょうか。

私は、というか弁護士の方は皆かもしれませんが、司法試験は毎年5月のGW明けに開催されますので、この季節になるとなんとなく「勉強しなきゃ」という気持ちになります。弁護士は常に法律知識の研鑽が必要とされる職業ですから、毎年試験のことを思い出して勉強意識を高く持てるのはそれそれで大切なことなのかもしれませんね。

ところで、GW前半の4月27日には、毎年恒例の子どもの日記念イベントが開催され、私も例年と同じく実行委員長兼劇の脚本を担当させていただきました。

この企画、今年で5回目になるのですが、毎年広島市内の高校生と弁護士ら大人が織りなす創作劇で、毎回テーマに即した内容の演劇をわかりやすく伝えることを目標に練習を重ねてきました。

今回のテーマは少年法の理念ということで、非行少年にただ単に罰を与えるだけでなく、子どもたちの成長発達権を尊重し、非行に走ってしまった背景や家庭環境等を一緒に振り返り、しっかり寄り添って更生を支えようという点を強調した劇になりました。特にこの劇で重視したかったのは、この子どもの成長発達権というのは、何も非行少年に特有のものではなく、すべての子どもたちに認められるべきものであるということです。その意味で、少年法は非行少年のために独自の理論で作られたというよりは、子育ての基本的な考え方を非行少年にも持ちましょうという当たり前のことを規定しているに過ぎないという点を皆様に知っていただきたかったというのが今回の劇のテーマでした。観ていただいた方には概ねわかりやすかったと言っていただきました。いろいろな意見があると思いますが、少なくとも少年法あるいは少年非行について、大人が目そむけずに考える機会はしっかり作って行かなければならないと感じました。

実は劇の直前の週末に今話題の「アナと雪の女王」を観てきました。個人的にいろいろな部分でいろんな感情が起こり、涙あり笑いありの大変感動した映画でした。この映画については、また機会があれば感想を詳しく書きたいと思っているくらいなのですが、今回はヒロインの一人である女王エルサの心境と周囲の反応は、現実に非行少年に対するそれを非常によく似ているのではないかという点に触れてみたいと思います。

周囲を隔離されて成長し、自分自身、自分の持つ力に一番苦しんでいるエルサ。しかし、その苦しみが一度表に出たとき、周囲はエルサを恐れ、エルサはさらに孤独感を深め、暴走します。少年非行の場合も周囲の環境にしっかり育ててもらえず、疎外感を味わった少年が一度の非行によりさらに周囲から蔑視され、孤独感を深めさらに大きな非行をするといったケースは多くあります。そんな時、アナのように常に愛情をもって接し、孤独感を解消することで少年が立ち直るきっかけになることはあります。非行を犯してしまったからといって少年の性格すべてが悪いわけではありませんし、よいところもたくさんあります。そのよい部分をしっかり出していけるためには、少なくとも周囲の大人たちは見捨てずに愛情を持って接することが大切なのではないかと思います。

ネタバレはしたくないので、映画を観ていない人にはよくわからない文章かもしれませんが、神田沙也加さんや松たか子さんの劇中歌も大変素晴らしいですし(個人的にはオラフ役のピエール瀧さんも大好きになりました)、ストーリーもいろいろ考えさせられるよい映画だと思いますので、一度観てほしいなと思いますし、その際にこのブログを思い出して非行少年の心境等も少し考えていただければ嬉しいです。

子どもの日記念イベントの来年のテーマはまだ決まっておりませんが、来年も大人たちが子どものためにできることについて、しっかり考えてもらえるシンポジウムができればと思っています。

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