勝利に導くヤジり方~ヘイトスピーチ差別事件~

下宮 憲二

こんにちは、下宮です。
 私事で恐縮ですが、待望のクライマックスシリーズが始まりました。甲子園での試合のため、広島の自宅のテレビの前に陣取って、地上波放送を見ていたのですが、これからカープの怒涛の攻撃が始まる直前に、延長もなく野球中継が終わってしまいました。あれだけ、広島で「祝・CS進出!」「広島初のパブリックビューイング開催!」と盛り上げておいて、一般放送ではこんなことってあり!?と思った次第です。
 贔屓のチームを応援していると、ついつい力が入ってしまい、がっかりするプレーなどをみると、無意識に声が出てしまうものです。球場などで観戦していると、様々なヤジが飛び交います。中には微笑ましいヤジやうまいと思うヤジもありますが、選手を誹謗中傷するようなものもあります。
 
先日、京都地裁で、ヘイトスピーチと呼ばれる差別的な発言を繰り返して授業を妨害した行為に対して、街宣禁止と損害賠償を認める判決が出ました。
 街宣活動等が、人種差別にあたり違法で、示威活動によって授業を困難にし、名誉を棄損するもので、公益目的とは評価できないと判断しました。
 表現の自由との関係が問われる難しい判断だとは思いますが、憲法上最大限に保障されるべき表現の自由にも、責任が伴うことを改めて認識させられる事件ではなかったでしょうか。
 
 ヤジも表現行為のひとつと言えますが、選手を著しく誹謗中傷するようなものは、プレーを妨害し、選手の名誉を棄損するものとなる可能性もあります。選手を奮起させたかったと言っても、ただただ誹謗中傷するだけでは、公益目的とは評価されづらいでしょう。
 凡退した選手が次のプレーを考えるには、「おどりゃー、出てくなー!」などと抽象的にヤジるのではなく「右脇が開いとろーが!」とか「内角を意識しすぎじゃ!」とか、選手が聞いて「確かに」と思わせるようなヤジり方が必要なのではないでしょうか。
 
やはり、チームの勝利を思えば思うほど、ヤジり方には責任を持つ必要があるのかもしれませんね。

前のページへ戻る