やっぱりおかしい衆議院選挙~一票の格差~

蓮見 和章

こんにちは広島事務所の蓮見です。
さて、今月も残すところあと1か月ですね。皆様どのような一年だったでしょうか。
年末に差し掛かり、皆さん公私ともにお忙しいと思いますが、そんな中やってきますね、衆議院選挙!!
解散の是非を問う声はありますが、衆議院の解散については、船本弁護士が解説してくれたとおり、法的には何ら問題ありません。
しかしながら、今回の衆議院選挙、はっきり言って無効とすべきと思っています。
「一票の格差」って言葉、聞いたことありませんか?
文字通り、選挙において有権者一人一人の票の重さが違うことを指します。
例えば、5万人の有権者から1人の当選者を出す選挙区と10万人の有権者から同じく1人の当選者を出す選挙区があった場合、有権者の票の価値は2倍の差があることになります。極端な話をすると、ある政策に賛成をした国民がこの両選挙区15万人のうち過半数をこえる8万人いたとしても、その内訳が5万の選挙区から4万人、10万人の選挙区から4万人いた場合は、その政策を支持する議員は1人しか当選しないということになり、国民の意思が正確に反映されないのです。
選挙区の区割りがどのような基準で行われているのかはわかりませんが、国民主権を謳う現憲法下で、国会議員を選ぶ国政選挙においては、基本的に多数決原理であるべきです。国民の多数が賛成した立法がなされ、多数の支持を受けた政党が政権を握るべきなのです。その意味で、国民一人の投票権の価値は平等でなければなりません。そしてその平等を解消するには人口に完全に比例した選挙区割りとすべきなのです。
それでは、人口の少ない地方の選挙区から選出できる議員は少なくなってしまうという意見もあると思います。確かにその点は否定できないでしょう。しかし、そもそも地方の意見を国政に反映させるために格差を認めるのは当たり前という議論自体に問題があります。あくまで選挙区割りの問題なので、あまり大きい問題と感じないかもしれませんが、例えば同じく少数の意見を反映させるために、高齢化の進む現代においては、少数である若者の投票権は一人2票にしますという法律を作ったら、すんなり納得する人はいないと思います。
憲法上地方の意見を国政に反映させる規定がない以上、どうしても地方の意見を反映させるべきというのであれば、国会においてしっかり議論し、国民投票においてそのように憲法を改正すべきなのです。
憲法改正がない以上、現在の選挙区割りが(その選挙区割りが理想的か否かは別として)無効であることは明白です。
今回は、これまでの訴訟の影響を受けて0増5減の選挙区割りを行った後の選挙になりますが、それでも最大格差は2倍を超える見込みだそうです。
司法に携わるものとして、今回の選挙について裁判所がどのような判断をするのか注目しています。

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