この夏の「HERO」

蓮見 和章

こんにちは、広島事務所の蓮見です。
夏も中盤に差し掛かっていますが、今年の夏は雨が多いですね。
夏の甲子園も史上初めて開幕が2日延期になりました。今のところ何とかその後の試合は行われているようですが、これ以上順延が続くと休養日もなくなってしまうかもしれません。

昨年もブログに書きましたが、個人的には夏の炎天下での試合で球児たちがベストパフォーマンスを見せるのはなかなか難しいかなと思います。球児たちには、この夏の甲子園の「HERO」を目指して十分休息をとって試合に挑んでほしいですね。

さて、久しぶりに今回はドラマの話をしたいと思います。
月9の「HERO」皆さん観ていますか?
木村拓哉さん主演の検察庁を舞台とした検察官と検察事務官のドラマですね。
弁護士もそうですが、それ以上に検察官というとどんな仕事をしているのか皆さんからはイメージしづらいかも知れません。私も13年前のドラマの際は、検察官というものがいまいちよく分かっていませんでした。
それから13年、司法試験に合格し、司法修習で検察官の仕事も少しですが触れて、現在は弁護士という立場から検察官を見ているものとして、少しドラマと現実の検察官の共通点と相違点をお話したいと思います。
 まず、検察官が検察事務官と2人一組になって取調べをするという点は実際の場面も同様です。少なくとも広島の検察庁では、ドラマのように各検事ごとに部屋があって、そこに検事と事務官の2人が常駐しており、取り調べを受けるものがその部屋に来ることになります。取り調べの状況もドラマのとおり、横に事務官がいて真正面に検事がいます。私が司法修習で見学させていただいたときは、ドラマのように事務官の方が取り調べ中に事件の話をすることはなく、調書という、後の裁判で証拠となるものを作成しています。検事と事務官のパソコンは同じデスクトップになっていて、事務官の打っている内容が検事にも把握できるようになっています。
 それから、検事は独立して職務を行うことから、被疑者の起訴不起訴は検察官の専権事項とはなっています。キムタク演じる久利生検事もそのために自由に調べができているように思います。もちろんそれは間違いではないのですが、実際は担当検事の判断を上司がチェックして最終的には各検察庁のトップのOKをもらってから起訴、不起訴が決定することになると思います。検察官の間ではそれを「決裁」と言っていたように思います。それぞれの検察官が独立して判断するとは言っても、そこは公的な任務になりますから、ある程度の一貫性も要請されることになりますから、そのあたりは仕方がないかもしれません。まあ、久利生検事の場合は、なんだかんだで自分の判断について上司も含めて皆を納得させています。おそらく「決裁」もしっかり取れていると思います。
一人の検事としての「独立性」を組織の中で生かしていく。
自らの責任で信念に基づき自由に取り調べをするけれど、最終的な起訴、不起訴の判断は皆をしっかり納得させる。そんな検事の本来の職業のあるべき姿を久利生検事や城西支部の検事はうまく表しているのかもしれません。
その意味でこのドラマは検察官にとっての「HERO」像なのかもしれませんね。
まだまだ、最終回まで目が離せないこのドラマ、法曹関係者としても注目してみていきたいと思います。

この夏の「HERO」    見逃せないですね!!

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