AKBとサッカーとAIW
広島事務所の蓮見です。
さて、先週私は、二つのイベントを観戦しました。その一つはAKBのじゃんけん大会です。
私はAKBに関しては正直主要なメンバーの名前と顔がなんとか一致する程度の知識しかなかったのですが、相川弁護士の強い要望もあり、世間があれだけ騒いでいるイベントですから、社会科見学も兼ねて参加しました。
相川弁護士のブログにもありましたが、AKBファンはお気に入りのメンバー(「推しメン」と言います)に対する思い入れがすごく、単にそのメンバーが好きというよりは、その人に関わるエピソード等を知りその生き様を応援するという感じでした。
皆相川弁護士のような思いで絶叫しているので、最初はその威圧感に押されてしまいました。
プロ野球やJリーグで、自分の応援していないチームの応援席(コール等を一番騒がしくしている席)に紛れ込んでしまったような錯覚に陥りました。
今回のイベントに参加してみて特に印象的だったのは、これまでのアイドルは挫折を知らず、弱みを決して見せないという部分というのがあったと思うのですが、AKBはそれぞれ弱みを含めた個性を大事にし、一人の人間として成長していく様をうまく表現している点です。
じゃんけん大会ではメンバーのこれまでの悔しかった出来事やメンバーの生い立ち等をわかりやすく説明したり、各メンバーが自分の個性を表した衣装で大会に挑むなど、初めてAKBのイベントに来た人も各メンバーの個性がわかりやすい企画になっていました。
AKBは、その妹分のSKE、NMB等も含めればじゃんけん大会にでていたメンバーだけでも70人を超えるのですが、私も結構な人数の名前と顔を覚えることができましたし、若干16歳にしてゴルフで240ヤード飛ばす娘や小学生の頃に秋元康氏に将来性を見いだされてセンターを飾った経験のある娘など、何人かのメンバーは印象にも残りました。
また、じゃんけん大会は、必ず勝者と敗者がでます。たかがじゃんけんとはいえ、勝者は屈託のない笑顔をみせ、敗者はどこかバツの悪い雰囲気になります。その表情が、十人十色、絶妙なのです。悔しさもありそれを爆発させたい、だけど皆が観ている手前それができない。隣でよろこぶ相手を心から祝福する気持ちもないわけではないが、自分も正直勝ちたかった。そんな様々な思いや人間的な部分を含めた表情が、その人を観るものをぐっと惹きつけるのでしょう。
AKBのファンは「推しメン」以外のメンバ-にも好感をもっていてAKB全体を応援しようとしている点も特徴的かと思いますが、(あれだけ人数がいれば、○○は嫌いとか、××が選抜に選ばれるのは納得できないとか、いう声が聞こえてきそうですが、少なくとも会場にそのような空気はなく、勝ったものを祝福し、負けたものをねぎらう雰囲気がありました。)それもAKBの各メンバーが旧来のアイドルとは異なり人間的な個性をうまく表現しているからではないかと思いました。
メンバー一人一人はタレント性に欠けるとか、AKB商法が好きになれないとか、世間では様々言われているAKBですが、多くの人を惹きつける各メンバーの個性をうまく表現することで、各メンバーを推すファンが増え、その結果組織全体が注目を集める存在になる。そして、その組織に所属することで、また新たなメンバーが日の目をみる。じゃんけん大会を観戦し、AKBの組織運営が現在極めてうまくいっていること感じるとともにその組織の強さを感じました。意外なAKBの魅力を感じることができたのは良かったです。
さて、私がなぜここまで熱くAKBについて語る気になったかといえば、それは先週観戦したもう一つのイベントに起因します。
先週、私は、あるJリーグチームの試合を観戦しに行きました。そのチームは、以前は豊富なタレントをもった選手を擁し、個性を生かすチームのビジョンの下、選手それぞれが役割をこなして確実に勝利するいわゆる強豪チームでした。
しかし、その後個人の能力に頼らなくても勝てるチームを目指そうと、大きく戦術を変えたのです。その結果、チーム戦術に少しでも異議を唱えたり、戦術に合わせられない選手はいなくなり、在籍している選手も戦術に縛られて個性を発揮しにくくなってしまったのか、成績は下降線をたどるようになりました。
先日の試合を観ても、選手一人一人が頑張ろうという姿勢は伝わるのですが、チームとしての戦術が浸透していないのか、はたまたチーム戦術が選手の個性をうまくひきだせていないのか、観戦する者にはチームのやりたいサッカーが全く見えない試合内容になってしまっていました。それなりに能力のある選手たちはいますし、個性ある若手も育っています。しかし、このようなチームでは、能力ある選手ほど他のチームに行きたいと思ってしまうでしょうし、そのような選手がいなくなればチームは弱くなり、さらに魅力のないチームになってしまうと思います。まさにAKBとは逆で組織の弱い部分、組織運営の難しさを痛感しました。
弁護士は、一つ一つの依頼をオーダーメイドの職人のようにその事案に応じて解決していく仕事で、各弁護士の弁護士としての個性(決して華があるとか、我が強い、他と異なるという意味ではなく、その人なりの価値観や生活スタイルといった人間的部分)を色濃く出して事案にあたることになります。その意味で元来弁護士は基本的にはアイドルやプロサッカー選手と同じように個性にある程度の魅力がなければならない職業だと思います。ただ、その性質ゆえ、弁護士が一つの組織としてまとまるためには、それぞれのメンバーが組織全体の魅力を享受し、その中で個性を発揮することを認め合えるシステムを作ることが大事だと思います。
個性を容認しながら、その個性の持ち主が魅力と感じる組織を作り、それを維持する。やがて、その組織から新たな個性が産まれ、さらに組織が強くなる。より多くの市民にとって身近な存在になり、より質の高いリーガルサービスを提供していくことを目指す弁護士法人の組織の在り方として、考えさせられたAKBとサッカーでした。