組織と世間体(高速鉄道脱線事件)

下宮 憲二

こんにちは、広島事務所の下宮憲二です。

 福岡の繁華街中洲に行って参りました。福岡事務所の方々のはからいで眠らない濃密な夜を過ごしてきました。現在、放射能に汚染された牛肉問題が深刻なことになっていますが、糸島牛という福岡のブランド牛を頂きました。なんの心配もなくおいしく食事をさせて頂いたことに感謝です。その後も、中洲の懐の深さをまざまざと見せつけられました。何かおもしろいことがところせましと埋まっている、そんな気分にさせてくれる街でした。
 今回、事務局の方にもお相手して頂きました。今までは、電話での事務的やりとりのみで個人的な話をする機会がなかったのですが、実際に接してみると九州の女性はお酒に強いことや姐さん姐さんと周りから慕われている方であることが判明しました。中でも、事務所全体での仕事に対する想いが、私とはまったくちがっていることが非常に新鮮でした。同じ組織においても、各事務所によってそれぞれの特色があるということは、強みであり、お互いが接することで新たな化学反応を起こし組織がさらなる成長をしていくもとになっているのではないかと、今回の訪問で強く感じさせられました。福岡事務所のみなさん、ありがとうございました。

 と前置きが長くなってしまいましたが、今回の有意義な訪問を可能にしたのも、我が国には、その時間の正確さ、安全さを世界に誇れる高速鉄道が存在するからですが、先日、とある大国の高速鉄道で悲惨な事故が起きてしまいました。
 事故の大きさに驚いてしまいましたが、それ以上に驚いたのは事故から運転再開までの時間が非常に短かったことです。JR福知山線の脱線事故が運転再開まで2カ月かかったのに対して、今回の事故では2日という超ハイスピード。無残な姿で転がる事故車両の横を、運転を再開した車両が通過する姿が印象的でした。大国の力をまざまざと見せつけられた思いです。これほどの圧倒的なマンパワーと迅速さが大震災の時にあれば、犠牲を最小限に止め、早期復旧も可能だったのではないかと思います。原発事故にしても1ヶ月以内に再稼働も夢ではかったのではないかと思わせる程のものでした。 

 また、事故車両を事故現場に重機で穴を掘って埋めるシーンは衝撃的でした。口蹄疫が流行って処分された家畜が埋められるシーンを思い出しましたが、事故車両をその場で埋めるという斬新な発想に驚かされました。さらに、重機で事故車両をガシガシと潰していくシーンも事故の悪夢を早く払拭したいという強い意思の表れにも思えました。
原因の徹底究明も国家主席によって指示されているということですから、原因究明がなされた上での撤去作業だとは思いますが、原因究明も非常にハイスピードでなされているのだと思います。
 今後、遺族の方への補償問題等も問題になってくると思いますが、上記のようであれば非常に迅速な対応が期待できるのではないでしょうか。そうであれば、代理人の出番も少なくなるような気がします。
 しかし、仮に、今回の復旧の早さが別な理由によるものであれば話は違ってきます。例えば、事故原因を隠蔽するために証拠となるものを隠滅しているのであったら、事故そのものの存在を葬り去る意図であるなら、制御システムの不具合が明るみに出ると「完全自主開発技術」の信頼が揺らぎ、高速鉄道網の整備も大幅に遅れ大国のメンツが丸潰れになるのを避けるために行っているとしたら・・。

 組織というものは、大きくなればなるほど世間体を気にして、組織が存在する本質的理由を見失いがちになる傾向があるようです。
 組織を構成する人たちがそれぞれの特色をもってお互い刺激し合い、切磋琢磨しながら成長しているなら、世間体を気にしている暇などないのかもしれませんね。

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