最良の予防法務(ヒロデンの試み)

下宮 憲二

こんにちは、広島事務所の下宮憲二です。

 法人業務のため東京に来ています。一番の注目はなんといっても完成したスカイツリー。勤務先や滞在先の川縁からでもその雄志を見ることが出来ます。弁護士会の野球大会が近いので、マイバットを持参しているのですが、スカイツリーを見ながらの素振りは格別です。

 業務の一環として新規事業を企画されている会社にお邪魔しました。みなさん他社にない商品開発に向けて意欲十分です。やってみせるぞという熱意がひしひしと伝わってきます。やはり、組織で何かを成し遂げようとする際には、現場スタッフのみなさんの士気というものが非常に重要だなぁと考えさせられました。

 先日、とあるテレビ局で今の日本の不況について考えさせられる番組が放送されていました。人口の減少、消費の冷え込み、業績が下がり、労働条件の低下、さらに人口減少・・、という流れが解説されていました。企業の中でも非正規雇用が増え、家庭を持てない若い世代の増加が、出生率の低下に拍車をかける。

 そんな企業の業績が下がる中で、我が広島のヒロデンこと広島電鉄株式会社という会社では非正規社員を全員正規雇用に切り替えたそうです。そうしたところ、これまで運転手の業務中の過失による事故が激減したそうです。正規雇用となったことで、収入が安定し正規社員としての自覚が生まれた結果、業務に対する意識が変化したと分析されていました。従業員の士気というものの大事さに着目したのだなぁと。地元広島に、不況打開のお手本となるような企業があることを誇りに思いました。

 日本一の兵と呼ばれる戦国武将と言えば真田幸村。私も大好きな武将です。私の記憶が正しければ、池波正太郎作「真田太平記」の中にこんなシーンがあります。

 大阪冬の陣、徳川軍は真田軍を包囲。前線の真田軍兵士たちは、総攻撃前夜軍令を待つ。そこに、真田の大将である真田幸村が突然訪れ、「みな頼むぞ」と声をかける。

 そのリーダーの心に触れた兵士たちは、この人のためなら死ねると心を新たにする。真田軍の士気が一気に高まったシーンでした。私の好きな場面の一つです。
 
 このような組織では、現在でいうところの労働問題も生じにくいのではないでしょうか。予防法務を考える上での大きなヒントとなりそうです。

 部下の士気をいかに大事にするか、それこそが最良の予防法務かもしれませんね。

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