学生時代のある出来事①~人の死に直面して思うこと~

蓮見 和章

こんにちは広島事務所の蓮見です

さて、昨日、芸人の桜塚やっくんが、中国自動車道での交通事故で亡くなったという事件がありました。本当に突然の出来事でショッキングでしたが、私にとっては、先週、大学院時代の同期で弁護士をしていた同世代の友人が亡くなったこともあったので、人の運命の残酷な部分を強く感じた一週間になりました。
人の死というものは突然やってくる時もあり徐々に近づいてくる時もありますが、皆さんは、これまで自分の「死」というものを感じたことがありますか?
私は、幸いながらこれまで大きな病気はしたことがありませんし、ラグビーをしていた高校時に膝の靭帯を断裂し、入院・手術をしたことはありますが、徐々に近づいてくる「死」というものは未だ認識したことがありません。
しかし、「もしかして自分は死ぬんじゃないか」と思った出来事が一つ(厳密には交通事故に遭った瞬間も感じていますがそれよりはより幅のある時間思ったという意味で)あります。
もう10数年前ですが、ある日の早朝、大学へ向かう通学途中で、私は高校生くらいの2人の少年ABに囲まれました。
少年A 「お兄さんお金貸してや」
私   「そんなお金ないよ~」と言って立ち去ろうとする。
少年A 「調子こいてんじゃねーぞ」と言って殴りかかる。
私と少年Aとっくみ合いになる。私がラグビーのタックルのような形で相手を押し倒した後、立ちあがろうとした瞬間でした。
ドスン
 腰が砕けるような衝撃とともに、私は再び地面に倒れこみました。倒れながら上を見ると、少年Bが金属バットを振りかざしてきました。
 2発目 今度は背中に当たりました。苦しくて、息ができなくて、抵抗なんてできるわけもありませんでした。それでも本能的に思いました「頭だけは、頭だけはやめてくれ。」そう思って頭を手で覆いました。
 「こいつら本気で頭まで狙うんじゃないか、自分は殺されるんじゃないか。」
この時、はっきり思いました。
幸い、その後数発金属バットで殴られ、完全に抵抗できなくなった(したら殺されるかもしれないので無駄な抵抗はやろうとも思わなかった)私を横目に、少年たちは私のバックを持ってバイクで立ち去っていきました。
ラグビー経験者の私でも見たことのない色の痣や内出血が背中のあちこちにできました。警察署で写真をとった警察官は「こりゃ完全にマジで殴ってるね。当たり所が悪くなくてよかったよ」と言っていたのを覚えています。「命拾いした」本当にそう思いました。
それ以来、強盗や殺人事件等のニュースがあると、その時のことを思い出します。被害者の方があの時の自分以上の思いをしたのかと思うと、本当に心が痛みます。
今回、友人の死や交通事故のニュースに触れ、改めて自分は幸運にも生かされている存在であることを感じました。
とにかく今は故人のご冥福をお祈りするしかできません。大震災の時も感じましたが、今生かされている自分に感謝して日々精一杯生きていくことが、故人に対して自分ができることと感じています。
ところで、私は、この学生の時の事件をきっかけに弁護士になろうと思ったわけではありません。しかし、弁護士となった今、あの事件での経験から思うところはいくつかあります。次回はそのことについてお話したいと思います。

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