子ども達に寄り添う!
こんにちは広島事務所の蓮見です。
本日広島でも、「カルテのない薬害C型肝炎訴訟」が提訴されました。カルテのない薬害C型肝炎訴訟に関しては札幌事務所所長の猪原弁護士が詳しく書かれていますのでそちらを見ていただければと思うのですが、私も広島の弁護団に所属しており、本日提訴前に行われた原告団の決起集会では司会進行を務めさせていただきました。原告になられた方々の中には既に薬害C型肝炎で亡くなってしまった方のご遺族方もおり、皆今日この日が来たことに関して感慨深げな様子でした。まだスタートに過ぎませんが、皆の思いが報われるようにできることを頑張っていきたいと思います。
この裁判、確かに「カルテがない」ということは立証上大きなハンデとなります。しかし、「カルテがない」事に関して患者側の過失は一切ないのです。それでも弁護団に相談に来られた方は、何十年も前の思い出したくない記憶の扉を頑張って開けてくれました。猪原弁護士が触れるように、この裁判は単に司法のみではなく、立法や行政をも巻き込んで解決していかなければならないと思います。弁護士に限らず多くの方に興味をもっていただき、皆それぞれが出せる力を持ち寄って大きなうねりを作っていく必要性を強く感じます。本日はマスコミも多数駆け付けてくれましたが、一人でも多くの方がこの問題に興味をもっていただければと思います。
興味をもってもらいたいといえば、来る4月29日に、広島弁護士会主催の「子どもの日記念イベント2012 子ども達に寄り添う」というシンポジウムが催されます。今回のテーマは「付添人制度の充実と自立援助ホームの設立」です。実は、昨年に引き続き、私はこのシンポジウムの実行委員長をしているのです。
「付添人」とは、少年事件において子どもが暮らす環境を整えたり、非行を繰り返してしまわないように少年に寄り添う役目を担う者で、成人刑事事件の弁護人に相当するものです。成人の場合は弁護人がいないと裁判ができないことから国選弁護人制度が創設されて全ての事件に必ず弁護人が就くようになっていますが、成人より自己表現能力に乏しく周囲との環境調整も必要なはずの少年事件には全体のたった4割しか付添人がついていないという現状があるのです。この現状を打破し、全ての非行少年に付添人を付けよう。つまり全面的な国選付添人制度の実現を目指すのがこのシンポジウムの一つ目の目的です。
二つ目のテーマである「自立援助ホーム」ですが、これは、行き場、居場所がない子ども達が自立するために腰を据えて共同生活を行う施設です。広島には行き場のない子ども達のためのシェルターはあるのですが(「子どもシェルターを知っていますか?」)、シェルターはあくまで緊急避難的な所で場所も非公開になっているので長期の生活には適しません。「緊急避難の必要はそれほど高くないが、行き場がない」そんな子ども達の自立のサポートが出来る場所として「自立援助ホーム」の設立を目指そうというのがシンポジウムの2つめの目的です。
そんな今回のシンポは、大きく2つの構成からなります。まず一つ目はジャーナリスト江川紹子さんの講演「少年事件を考える」です。私が講演依頼のお電話をした時、江川さんは多忙にもかかわらず二つ返事で出演を快諾していただきました。教育・人権問題など幅広く活躍している江川さん、子どもをとりまく環境についてとても有意義な講演になることは間違いないと思います。
もう一つは、高校生と弁護士らによって作る演劇「スマイルフォトグラフ」です。この演劇、広島高校演劇でトップレベルの実績を持つ演劇部の生徒さんと弁護士が共演する劇として、認知度を増しつつある劇となっております。
そしてこの演劇、実は私と他の弁護士の2人が作った全くのオリジナル脚本を演じることになります。日頃からドラマを見るのが大好きで、ストーリーを創造するのは嫌いではない私ですが、一から脚本を作るのはなかなかしんどい作業で、徹夜を重ね、それでも納得するものができずに心が折れかけたときもありました。だからこそ、こうして多くの方の前で劇として演じてもらえることの感慨はひとしおです。弁護士も3年目ということもあってかなり演技レベルが向上しておりますので、一度騙されたと思って観ていただければ結構面白いかと思います。
観た方がどう感じてもらえるか不安な部分もありますが、難しいテーマをわかりやすく表現できるのは演劇のよいところです。演劇を通じてより多くの方に「付添人制度の拡充と自立援助ホームの設立」というテーマに興味をもっていただき、制度実現への大きなうねりになれば嬉しいです。
以下の要領で開催されますので、お近くにお住まいの方は是非お気軽にお立ち寄りいただければ幸いです。入場無料です。
2012年4月29日(祝) 広島市青少年センターホール(旧広島市民球場の裏)
開場 13時
開演 13時30分~17時終了
第一部 高校生と弁護士らによる演劇「スマイルフォトグラフ」
第二部 講演 ジャーナリスト江川紹子さん 「少年事件を考える」