ゲンとの会話~「はだしのゲン」閲覧制限事件~

下宮 憲二

こんにちは、下宮です。
 この夏、松江市教育委員会が漫画「はだしのゲン」の閲覧制限を小中学校に求めていた問題が取り沙汰されました。ここ広島は漫画のモデルとなった被爆地でもあって、連日のように大きく報道されていました。知る権利との関係もあって興味深いところです。
 
 私が小学生だった頃、学校の図書室に「はだしのゲン」は置いてありました。当時の私は、難しい本ばかりが置いてあるはずの図書室に漫画があるというだけの理由で手に取っていました。
でも、よく考えると私が「はだしのゲン」に触れたのは、この小学校の図書室だけだったように思います。自宅にはありませんでしたし、学校を一歩出れば当時人気だった週刊漫画雑誌ばかりに目が行っていましたので、小学校の図書室で自由に閲覧出来なかったら、今でも「はだしのゲン」をちゃんと読む機会がなかったかもしれません。
 「はだしのゲン」の閲覧制限の理由は、残虐なシーン等が描写されているため子供の発達段階に応じた教育的配慮とされています。
 確かに、私の記憶でも絵のタッチもそうですが、内容が強烈であったためちょっとえぐい漫画だなぁという印象でした。と同時に、ゲンが家族からも見放された被爆者の看病をする中で、当初は心を閉ざしていた被爆者がゲンの献身的な看病に心を開いて行くシーンに感動したことも強烈な印象として残っています。
 教育的配慮も必要かもしれませんが、子どもは子どもなりに自分に適切なものとそうでないものを判断しているのかもしれません。幼児が苦いものや辛いものは食べないように、まだ受け入れられないものについては、興味を示さず、発達段階に応じて興味を示し、取捨選択してくのではないでしょうか。そのような取捨選択が可能な環境を作ることが必要ではないかと思います。
やはりゲンに気軽に話しかけることのできる環境が必要なのかもしれませんね。

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