「天才子役」は「天災子役!?」~芦田愛菜ちゃんCDアルバム発売!!
こんにちは広島事務所の蓮見です。
先日、テレビを見ていたら、芦田愛菜ちゃんが11月23日にCDアルバムを発売するというニュースを耳にしました。今回は、竹内まりやさんや岸谷香さんなどの大物からの楽曲提供もあり、本格的な歌手デビューとなるようです。ドラマ「マルモのおきて」以降、CMやイベントなどに引っ張りだこの愛菜ちゃん、まさに「天才子役」の名を欲しいままにしているという感じです。賛否両論いろいろあるかと思いますが、普通の7歳の女の子はいつもあれほどまでに愛嬌を振りまけないと思います。たとえ大人の顔色をうかがって無理に振るまっていたとしても、そのプロ意識には感服しますし、そんな愛菜ちゃんの愛くるしい笑顔を見て個人的にも癒しを感じる時があります。
ただ、大人のタレントより多忙を極めている愛菜ちゃん、まだ小学一年生です。普段学校に行けているのか疑問に思う人も多いと思います。こんな愛菜ちゃんブームの中、ちょうど「崖の上のポニョ」で主題歌を歌った大橋のぞみさんが学業専念の為芸能界を引退するかもしれないというニュースも耳にしました。子役2人のニュースに関連して、今日は「義務教育」について書いてみたいと思います。
日本国憲法第26条2項は「すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負う。義務教育はこれを無償とする。」と定めています。昔、社会の時間でならったかと思いますが、子どもに普通教育を受けさせる義務は、勤労、納税とならぶ国民の三大義務となっています。
さらにこの憲法を受けた、教育基本法、学校教育法では、子供を保護する日本国民の義務として、9年間教育段階に応じる学校に就学させなければならないとされ(学校教育法第16条、17条)、義務履行の督促を受けてもなお履行しない者は10万円以下の罰金に処すると明記されています(学校教育法第144条)。
このように、法的には子供を学校に通学させないと親に罰則が適用されることになっています。ただし、この規定が適用されることはあまりないようです。これは学校教育法施行令第20条21条が、親に義務履行の督促をする権限をもつ校長や教育委員会に、督促を行うかの判断に裁量を認めているためです。校長や教育委員会は、子供を出席させないことにつき正当な事由があると判断した場合には督促をしないと判断することもでき、子供自身が登校を欲しない場合やいじめ校内暴力などの教育上の問題がある場合は、督促がなされない運用になっているようです。また、学校教育法第18条では、子供が病弱や発育不完全その他やむを得ない事由があって就学困難な場合は保護者の義務を猶予又は免除することができると規定されています。
この規定からすると、子役タレントの場合は、子供が学業より芸能界を優先させる意向のとき、つまり登校を欲していない場合は、親に罰則が適用されることはなさそうです。ただ、子供が学校に行きたいにも関わらず親がそれをさせず、芸能活動を強制していた場合は、いくら売れっ子子役の親でも、教育を受けさせる義務を怠っていると言わざるを得ないかも知れません。
ニュースで大橋のぞみさんは、来春中学校に入学するにあたり「吹奏楽部に入ってトランペットをやりたい!」と言っていました。「普通の子に戻りたい、勉強がしたい。」それが本心なのかも知れませんね。
愛菜ちゃんも、今後大橋さんのような気持ちになるときがあるのでしょうか。それとも要領よく学業との両立を図っていくのでしょうか。学校教育は、基本的な常識を学ぶことと同時に同世代との交流を通じてコミュニケーション能力をはぐくんでいくものだと思います。
子供が自ら芸能界を優先するのであればそれでいいと思いますが、周囲の期待にこたえようと学校に行くのを我慢しているのであれば、子供は被害者です。ファンになるとついつい多くのメディアに出て欲しいと応援したくなるものですが、法的な義務を負う保護者のみならずファンである私達大人も子役に過度な期待はしてはいけないのかもしれません。「天才子役」を「天災子役」にするわけにはいきませんからね。