熱中症対策は『優しさ』ではなく『義務』です ~労働者を守る制度と、経営者の想いについて ~
こんにちは、弁護士の蓮見です。
先日、こちらのコラムでの紹介させていただいた演劇にほんの少しだけ出演する機会がありまして、そこで「阿部寛っぽいですね」と言われました。
もちろん、身長も顔面偏差値も、あちらは国宝級でございますので、真に受けすぎてはいけないのですが、それでも人間というものは単純なもので、少し嬉しくなってしまいました。
さて、そんな“テルマエ・ロマエ感”を漂わせながら、今日は少し現実的なお話です。
経営者の皆さま、従業員を気温31度以上、またはWBGT値28度以上の環境で、連続1時間以上、あるいは1日4時間を超えて働かせることが見込まれる場合、熱中症対策が法律上の義務になっていることをご存じでしょうか。
令和7年6月1日から、改正労働安全衛生規則により、事業者には熱中症の重篤化を防ぐための体制整備、対応手順の作成、そして関係者への周知が求められるようになりました。
つまり、単に「水を飲んでね」「無理しないでね」と声をかけるだけでは足りない時代になった、ということです。
特に、警備業、建設業、運送業、屋外イベント、工場、倉庫など、暑さと向き合う現場では、この問題は決して他人事ではありません。
暑い中で働いてくれる人がいるからこそ、会社の利益が生まれ、社会の安全や便利さが守られています。
その労働者に対して、「昔はみんな我慢していた」「気合いで乗り切れ」という発想で向き合うのは、もはや時代遅れというより、古代ローマにも笑われてしまうかもしれません。
ご存じ『テルマエ・ロマエ』の世界では、ローマ人たちは風呂を大切にし、身体を癒やし、人がまた明日働けるようにする文化を持っていました。
もちろん、現代の職場に巨大な浴場を作りましょう、という話ではありません。
しかし、
休憩場所を整える。
冷却グッズを準備する。
異変を感じた人がすぐ報告できるルートを作る。
誰が判断し、誰が救急搬送を手配するのかを決めておく。
現場の人に、その手順をきちんと伝えておく。
これらは、いわば令和版テルマエなのだと思います。
法律は、ときに面倒なルールのように見えます。
しかし、その本質は「人の命を守るための制度」です。
熱中症対策も、単なるコンプライアンスではありません。
働く人の身体を守り、その家族の安心を守り、会社の信頼を守るための仕組みです。
特に警備会社の経営者の方にお伝えしたいのは、警備員さんは社会の目立たないところで、私たちの安全を支えてくれている存在だということです。
炎天下の駐車場、工事現場、イベント会場。
そこに立っている人がいるから、社会は静かに回っています。
だからこそ、経営者には、その人たちの心の声に耳を澄ませてほしいのです。
「暑い」と言える職場か。
「少し休ませてください」と言える空気があるか。
倒れてから動くのではなく、倒れないための制度があるか。
ここに、会社の本当の姿勢が表れるのではないでしょうか。
もし、熱中症対策として何を整えればよいのか分からない。
警備現場に合ったルールや手順を作りたい。
そんなときは、令和版テルマエを設計する平たい顔族の弁護士として、ぜひ私、蓮見につないでください。
働く人を守ることは、会社を守ることです。
そして、会社を守ることは、その会社が社会に届けている価値を、次の世代へリレーしていくことでもあります。
制度の奥には、必ず人があります。
この夏、暑さに負けない職場づくりを、法律と想いの両方から一緒に考えていければ嬉しく思います。